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  • 「やりたいことをやれるので、すごく気楽」 eyelisがクリエイターユニットとして活動し続ける理由とは?(後編)
    川崎里実、増田武史、前口渉による、サウンドクリエイターユニット・eyelisへのインタビュー。前編では音楽遍歴や作家としての転機、アニソンの作り方から最新作について、じっくりと語ってもらったが、後編では同ユニット結成のきっかけや、3人で活動する意義、こだわりの機材などについて、じっくりと話を訊いた。

    eyelisが語る、アニソン制作の“極意” 「小難しいアレンジをしても、テレビのスピーカーからは聴こえない」(前編)

    取材・文:中村拓海


    ――eyelisが結成されたきっかけを教えてください。

    前口:
    3人を共通で担当していた事務所のディレクターから連絡を貰ったのがきっかけです。その方はどうやらずっとユニットをやりたいと思っていたらしく、どうせなら3人ともクリエイターで、しかも歌う人もいるので、面白いことになるのではと提案されました。僕は「プレイヤーじゃないのでライブはできません」という条件付きで快諾しました。
    川崎:
    私はそのとき福岡にいたので、電話越しに「やるよね?いいよね?」と問いつめられ、断れない状況でしたね(笑)。
    増田:
    僕は「曲を作ったり、歌う機会もあるのでお願いします」とお誘いいただきました。
    川崎:
    あと、『ハヤテのごとく!!』『絶対可憐チルドレン』などを手掛けるプロデューサーの後押しもその一助でした。これらのアニメには3人が関わることが多く、仮歌段階で増田さんや私の歌を気に入ってくださったみたいで。あとは現場の悪ノリ(笑)。
    前口:
    自分で言うのもアレなんですが、増田さんに仮歌を入れてもらったデモのクオリティには自信を持っています。なかには「その状態でリリースされた曲を聴きたい」とおっしゃる業界の方もいたりして。だからこそユニット結成には前向きだったという背景もあります。

    ――相性のいい作家さん同士でも、ユニットとして名前をつけて活動されるのは珍しいと思いますが、どのような感覚でやっているのでしょうか。

    前口:
    ぼくはあまり深く考えずに、サクッとやっています。もともと作家としての軸や仕事はあるので、それをやりつつという感じですね。
    川崎:
    アニメのお仕事をいただいた時に集まってくる、という印象です。もちろん、アニメも飛び越えてやっていきたいと思っているんですけど。
    前口:
    あとは、やりたいことをやれるので、すごく気楽ですね。以前にリリースしたアルバム『PRE-PRODUCTION』は、自宅ミックスを行ったりと、本当にプリプロ的な感覚で作れた一作だったりするので、やりたいことを詰め込めています。
    増田:
    僕は「歌わせていただいている」という気持ちでやっています。評価していただいてありがたいなと。メンバー同士の反発もないし、自然に3人の立場を尊重しながら、チャンスをいただければ動くという、不思議なユニットなんですよね。僕はリーダーの楽曲やアレンジを尊敬しているし、川崎さんの声も本当に大好きなので、ずっと続けられたらいいなと思っています。

    ――3人とも、ジャニーズやアイドル、シンガーにアニソンなど、多ジャンルの楽曲を手掛けていますが、アウトプットする際に自分の中で切り替えなどを行っているのでしょうか?

    増田:
    ジャンルで切り替えるという意識が、そもそもないのかもしれない。僕は、作業する曲単位で切り替えているという感覚ですね。
    前口:
    アニソンのコンペがきたときは、オープニング・エンディングに必ずアニメーションがつくので、その絵ありきの曲を考えたりします。「ここで空の画像がきたらいいな」とか勝手に決めていて。J-POPはそういうものがあまりないぶん、ライブでのステージングを意識して、「ここでこういう振付があったらいいな」とか、グループだと「センターが歌っているときにサブのメロディが流れるようにしよう」といった展開を楽しみながら作っています。
    川崎:
    私は切り替えがすごく下手ですね……。今はDoll☆Elementsというアイドルのシングル曲をずっと書かせていただいているのですが、彼女たちの楽曲は転調や仕掛けをかなり多めに作っていて。他の楽曲とは毛色が違うので、頭のネジをガッツリ外しながら書かなければいけないぶん、すごくエネルギーを使います(笑)。そこから、シンガーさんのバラード曲を並行で作業するとなった場合には、もう大変で大変で……。対策として、バラードを作る前には、自分の好きなアーティストのバラード曲をまとめ聴きして頭を切り替え、Doll☆Elementsに戻る時は「転調入れる、セリフ入れる……」と、いくつか項目を挙げて自己暗示を掛けています。

    ――制作にあたって、お気に入りの機材を教えてください。

    前口:
    ハードだと、Appleの『Magic Trackpad』ですね。ユーザーインターフェースとしてはすごく優れていると思います。左にこれを置いて、右手でマウスを動かします。僕はとにかく、日々のルーティーンを短縮して、快適にすることにお金をかけていきたいと思っていて。さらに、機材もシンプルにしたくて、デュアルモニターは辞めたし、オーディオインターフェースも年々小さくなってきている。今はRMEの『FireFace UCX』を使っているのですが、今度さらに小さい『Babyface Pro』が発売されるので、それも気になっています。ソフトウェアではSoftubeから出ているギターアンプシュミレーター、『Vintage Amp Room』がお気に入りです。あまり歪みすぎず、程よい質感の音が出て相性ピッタリです。
    増田:
    僕は、Macで『Logic pro』使いなのですが、インターフェースは『APOLLO TWIN SOLO』をずっと愛用しています。また、ギター弾きなので、ギターにもマイブームがあって。最近はTaylor Guitarsというメーカーのものをずっと使っているのですが、そのなかでもトップにシダー材を、サイドとバックにマホガニー材という珍しい組み合わせがお気に入りです。軽くて、カラッとした良い音が出るんですよ。あと、ギターマルチプロフェッサーとしてFractal Audioの『Axe-Fx2』も最近はずっと使っています。
    川崎:
    私は『RD 700GX』の88鍵が無いとダメですね。ずっとピアノをやってきたので、バラード曲を作るときは、キーボードのタッチだと気分が乗らないんです。象牙調の鍵盤はキーボードとタッチが全く違うので。重さが25kgくらいあって、引っ越しの時は大変なんですけど、福岡にいる時からこっちに持ってきたり、こっちで引っ越すときも何度か運んだりしています。あと、学生時代からRolandで鍵盤の実演販売をして、機材の使い方を叩き込まれたと同時に、Roland製品の良さを学んだので、RDのほかに『Fantom-XR』も愛用しています。
    前口:
    『RD 700GX』から『Fantom-XR』を繋げてMIDI入力するってこと?RDには音源は入ってないの?
    川崎:
    もちろん入っているんですが、RDの音は使わずに、そのままマスターキーボードとして使っています。
    前口:
    なるほど。

    ――せっかくの機会なので、最後にお互いをどう見ているのか教えてください。

    川崎:
    ユニットだったら、毎日顔を合わせると思うのですが、それぞれ作家として活動していることもあって、1カ月に一度会うかどうかの頻度なんです。でも、私はeyelisが「家」だと思っていて。ここがあるから、個人の活動も頑張ろうと奮起できる。二人の印象については、私のなかで“アコースティックの増田さん”と“デジタルの前口さん”というイメージです。
    前口:
    僕は最近アコースティックに寄ってきたはずなんですけどね(笑)。出だしのころは、ピコピコが大好きだったのですが、最近は楽器そのものの音を求めるようになりました。
    川崎:
    「パーカッションを生で録るのにハマってる」って言ってましたもんね。

    ――それは、デジタルっぽい音に生音をミックスさせていくということでしょうか。それとも生音だけで完結させたいということ?

    前口:
    もちろん曲によります。必要ないなら省いていきたいですし、足すよりは引いていきたい。「本当にこのパッド必要なの?」と思ったら、TD段階でカットしたり。僕が二人に抱く印象ですが、まず増田さんに対しては、受ける影響がものすごく強いと思います。音楽もライフスタイルもつい真似しちゃうんですよ。
    増田:
    そんなの言ったことなかったじゃん!
    前口:
    本当ですって(笑)。あと、川崎さんに関しては、彼女が作った楽曲をよくアレンジするのですが、難解な曲を作る人だなと思います。それは良いところでもあり悪いところでもあるけど、“変態性”は隠さない方が良いと個人的には考えているので、大事にしていって欲しいです。
    増田:
    川崎さんは「人間的にピュア」という一言に尽きますね。良い意味で味が漏れ出ている。この仕事を何年もやって、最初の印象のままずっと味を出し続けるのって、一種の才能だと思いますよ。人間的な魅力と音楽の魅力が一致している。
    前口:
    だからこそ、川崎さんの曲をよくアレンジしていると、転調の勉強にもなるんです。『絆にのせて』の3曲目に収録されている「僕は今」という曲があるのですが、そこから頂いた転調方法は、昨日のコンペ曲に使いました。そういう意味で非常に影響を受けているといえますね。
    増田:
    そうそう僕のリーダーについての話がまだ残っていましたね。彼は非常にマイブームの分かりやすい人で(笑)「今はこれに夢中・これが好き」という時の顔がすごく楽しそうで、それが音楽にも反映されている。何度か彼の曲をアレンジしたのですが、まさにその密度の濃さを強く感じることが出来ました。
    前口:
    そうですね。自分の中に決めごとというか、信念があるのかもしれないです。自分ではわからないです、過去に手掛けたアレンジを聴いたりすると「こんなことやっているんだ!」と我ながら面白く思ったりしますね。2人はそういうことないですか?何年も前の曲を聴いて「こういう作り方、自分の中で流行っていたのかな」と感じたりとか。
    川崎:
    確かに、昔のデータを開くと「すごく細かいことをやっているな」と思うことが多い。年齢を重ねるにつれ、どんどんシンプルになっていますね。

    eyelis(アイリス)

    サウンドクリエイターの川崎里実・増田武史・前口渉により結成され、2012年5月30日に、「らぶこーる」(中川かのん)、「God only knows」(テレビアニメ「神のみぞ知るセカイ」)、「本日、満開ワタシ色!」(桂ヒナギク)、「Break+Your+Destiny」(可憐GUY’S)など、メンバーが作曲・楽曲プロデュースした曲を集めたセルフカバーALBUM「PRE-PRODUCTION」でCDデビュー。
    メンバー個々としてJ-POP、アニメソングなど幅広く楽曲提供をする一方、ユニットとしてアニメーション作品の主題歌などを担当。これまでに「CANT’ TAKE MY EYES OFF YOU」(「ハヤテのごとく!CANT’ TAKE MY EYES OFF YOU」OPテーマ)、「ヒカリノキセキ/未来への扉」(「神のみぞ知るセカイ 天理篇」主題歌)、「OUTLAWS」(「THE UNLIMITED 兵部京介」EDテーマ)のシングルをリリースしている。 ユニット活動開始から3年の2015年5月30日に新たな活動を開始。2015年7月から放送開始予定のテレビアニメ「赤髪の白雪姫」EDテーマがその第一弾となる。

    公式サイト:http://whv-amusic.com/eyelis/



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    2015.08.28

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