Music Factory Tokyo

Music Factory Tokyo

  • 音楽作家塾
  • Music Factory Tokyo presents「Music Creators Workshop」
  • メールマガジン
  • YouTube
  • instagram
  • musicるTV
  • レコーディング女子
  • 宮地楽器
  • search


special

  • 9/24(土)開催Music Creators Workshop 『マルチで生き残れ!Carlos K.のすべて、教えます』Carlos K.×多田慎也
     音楽機材やネット環境が充実した近年、急増している音楽作家志願者から、作詞・作曲・編曲とマルチで活躍するクリエイターにスポットを当てた音楽ワークショップ『Music Factory Tokyo presents「Music Creators Workshop」~マルチで生き残れ!Carlos K.のすべて、教えます~』が9月24日、テレビ朝日ミュージック本社屋(港区六本木)で開催された。

     ナビゲーターを務めたのは、AKB48「ポニーテールとシュシュ」や嵐「マイガール」の作曲で知られる多田慎也。ゲストには遊助やLittle Glee Monster、Crystal Kay、Flowerといったアーティストから、AKB48や乃木坂46、SUPER☆GiRLSなどのアイドルまで、多彩な楽曲を手掛け、2015年オリコン年間ランキング・作曲家部門を受賞したCarlos K.を迎え、ヒット曲の“仕掛け”を解説した。

     この日の初めに行なわれたコーナー「あなたの楽曲、添削します」は、参加者から提出された渾身の1曲を添削するというもの。参加者にはMusic Factory Tokyo事務局からMi7社の商品が20%OFFで入手できるクーポンが配布された。まずは提出曲の総評として、多田が「今回は総合的に一番レベルが高かった」と述べ、Carlos K.は「こういう機会は初めてなので、新鮮な気持ちで聴けたし、刺激になりました」とコメント。その上で多田は「イントロが長かったり、Aメロが始まるまでに時間がかかっているものが多かった。忙しいディレクターなら飛ばされてしまう可能性があるので、その辺りは気をつけてほしい」とアドバイス。Carlos K.は「相手の人が何を基準に曲を選ぶのかを考えてデモを作るのが大事で、良い流れで盛り上がる箇所までくることを意識しなければいけない」と、これに同意した。


     続いて「コンペ時に気をつけること」として、Carlos K.は「全体的な流れとしてサビへのつながりを重視しています。トラック・オケのアレンジを担当することも多いので、デモ出しの時はアレンジを含めて相手が納得できるようなものを出します」と語り、続けて「音の定位やボーカルエディット、エフェクト処理やボリューム、メロの聴き易さを重視しつつ、トラックも聴かせたいという欲張りなデモになっている」と赤裸々に告白。これに対し、多田「余白を残したりすることもあるんですか?」と質問すると、Carlos K.は「かつては第一プレゼンの段階で、マスタリングしているくらい突っ込んでいることもあった。音が大きければ勝つのかなと思う傾向にあったんですけど、最近はそんなこともなくなってきていますね」と答え、多田も「かつてのような音圧競争は終わったんじゃないかと言われていますね」と、デモの音圧について意見を交わし合った。

     その後、1人目に発表された受講生の楽曲(アイドルポップス)を聴いたCarlos K.は「ボーカルはもう少しハイでもいいのでは。言葉がところどころ埋もれている印象なので、そのあたりに気をつけてボーカルエディットをしたほうがいい」と語ると、2人目の楽曲(ハウス風のポップス)について、多田は「受講者ではなく、ライバルだと思えるくらいの曲」と絶賛。Carlos K.は「多分低音の処理だと思うんですけど、ビートがチープに聞こえるので、ドラムのグルーヴを変えるなどして、全体的にメキメキ感を出すといい」とアドバイスした。

     また、3人目の受講生が提出してきた楽曲(R&B風)については、Carlos K.が「シンガーの歌い方に癖があるので、気になる人が多いかもしれない」と語ると、多田は「上手すぎて、この時点でボーカルディレクションしてしまっている感じ。もう少しストレートでもいいのかも」とコメント。4人目の受講生には、Carlos K.が「サビにたどり着くまで疲れちゃう。音色の選び方を世の中に出回っているものを聴いてアップグレードしたほうがいい」と語った。

     ワークショップ中盤は、Carlos K.がLittle Glee Monster「Summer Days」のデモ音源について、Logicのプロジェクトデータを公開。「ドラムはドラム、ベースはベースで書き出すようにお願いされることもあるので色分けしている」と細かいデータの分け方まで公開すると、多田は「発注はどのような形で来て、最初にどのような作業をしたんですか? トップノートの指定はあった?」と質問。Carlos K.は与えられたオーダーを述べたあと「普段は、作るアーティストの楽曲を聴いてトップノートを調べて、キーを設定します」と回答し、続けて「とりあえずトラックを最初に作って、メロディと歌詞を同時進行で仕上げていくんです。日本は歌詞を大事にする文化があるので、デモだとしても曲に合った歌詞・響きが良い歌詞のほうが良くなる」と、コンペ向きのアドバイスを送った。

     また、楽曲作りの工程については、Carlos K.が「サビから考えちゃうんですけど、サビ頭から取り掛からずに、Bメロの後ろから全体のコードに合わせつつ、メロディと歌詞を作っていく」と言ったのに対し、多田は「サビは別バージョンの曲として考えますね。あと、絶対にシンセのアルベジオデータを入れるんです。メロを作る段階で16分が聞こえていないと作れないんですよ」とそれぞれの作曲方法を展開し合った。

     ワークショップ後半では「メロディ作りの極意、教えます」として、多田がCarlos K.の作ったオケにサビのメロディを付け、Carlos K.も同じ工程を踏み、両者の特徴を比較するという企画へ。多田は「Carlos K.さんは3度や5度を飛ぶ“カッコウ系”だから、そのあたりを意識して作ってみたんです」と跳ねるような繰り返しのメロディが印象的な楽曲を披露。多田は続けて「いつも心がけているのは、リフレインは3回がワンセットで、うち2回は同じことをやって、3回目は1つ音符を省くということ」と、自身の繰り返しにおけるルールを明かした。

     一方のCarlos K.は、「歌いながら作っていて、サビ前のピックアップはすごく意識した」というR&B風のメロディアスな楽曲を聴かせると、多田は「グリップ力が半端じゃない。アウフタクトは多いんですか?」と質問。Carlos K.はこれに「多いかもしれません。あとはサビ中で飽きさせないような仕組みを作っておくというのもポイント。毎回頭から3回くらい歌って、それを録って、それを切り貼りして組み合わせる、というメロの作り方をしています」と告白した。コーナーの最後には、多田がここまで自分たちの楽曲を講評し合ったことを振り返り「自分が良いと思っている部分が他人にわからないと一流の作家とは言えない」と話すと、受講生からは感嘆の声が漏れた。

     最後の「質疑応答」では、Carlos K.に「ミックスの技術はどのように学びましたか?」という質問が寄せられ、彼は「独学ですが、最近だとコライトにトップライナーで入ることもあるので、トラックメイカーがやっていることを真似することも勉強になりました」と、独学で学んだ手法を公開。「かっこいいダンス系〜R&B系トラックの作り方がわかりません」という質問には、「18歳から21歳まではバンドでドラムをやっていて、ピアノは習ったことがありません。でも、コードをしっかり弾いて裏でアルペジオ鳴らすだけである程度良い感じになるし、海外の人たちも楽器ができないトラックメイカーが多かったりする」と自身や海外作家の手の内を明かし、続けて「彼らは音源を切り貼りして、指弾きしたものを3つ重ねて音像を豊かにして、空間を作ることで良い感じの音を出すことが主流になっている。曲作りって自由なんです」とアドバイス。多田もこれに「僕らってついついクオンタイズをしちゃうと思うんですけど、海外の人は良い感じで弾いてるように聴こえるのは、そういうことなのかもしれないですね」と感想を述べた。

     また、「2人の武器を教えてください」という受講生の声に対し、多田は「メロディに関しては歌のしゃくりですね。聴いた人は簡単そうと思うけど実は難しいという特徴があるんです」、Carlos K.は「耳ですかね。あまり考えないで作るんですけど、どこに何があるとか定位で曲を作っているので、『ここに何をはめる』という音選びが特技なのかもしれないです」とそれぞれの強みについて回答。「トラックを作っていると『何かが足りない』とごちゃごちゃしてしまう」という質問については、Carlos K.が「最初は自分もそうだった。でも、そうすると一つ一つの音に存在感がなくなる。だから一つ一つの音に対して『なぜこの音はここにいるのか』と説明できるものだけを残して、あとは消す」と対策方法を伝授し、続けて「帯域をかぶらせないようにする。真ん中あたりにいっぱい音があるのは、歌と被って聴こえて良くないで、薄くすることが多い。結局のところ、高音と低音がしっかりしていれば良い曲になるんです」とアドバイスを送った。

     ワークショップの最後には、Carlos K.が「『人生一回きりなんで、どうせやるなら死ぬほど楽しもう』ってことですね」と自身の作家活動に対する思いを語ると、多田は「明るいですよね。僕はその明るさと屈託のなさが人気の要因なのかもしれないと思っていて、こういう人がトップをとるんだなと。楽しむことが重要ということを改めて学ばせていただきました」と、これまでとは違った雰囲気の講義となったことについての感想を述べた。

     実際の制作データを見ながら、具体的なアドバイスを受講生たちに伝授し、より実践的な内容となった今回のワークショップ。次回は一体どんな作家が登場するのだろうか。

    2016.10.04

  • search


page uppage up