Music Factory Tokyo

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  • 6/25(土)開催Music Creators Workshop~作詞編~ 『タイトル決めが9割 ~勝敗はここで決まる~』zopp×多田慎也
     音楽機材やネット環境が充実した近年、急増している音楽作家志願者から、作詞家にスポットを当てた音楽ワークショップ『Music Factory Tokyo presents「Music Creators Workshop タイトル決めが9割 ~勝敗はここで決まる~」』が6月25日に開催された。

     この日の講義では、AKB48「ポニーテールとシュシュ」や嵐「マイガール」を手掛けている多田慎也がヒット曲に隠された歌詞の“仕掛け”を解説。ゲストには修二と彰「青春アミーゴ」や、山下智久「抱いてセニョリータ」など、数々のヒット曲を手掛ける作詞家であり、『作詞クラブ』の主宰として未来のヒットメイカーを育成しているzoppを迎え、様々な話が繰り広げられた。なお、今回の講義は2部に分けて行われ、第1部では2人による「タイトル決めが9割 ~勝敗はここで決まる~」というテーマについての講義とグループワークが、第2部では受講生からの質問に2人が回答する「質疑応答」を実施。また、この日の来場者には、協賛のパイロット社から作詞にちなんだ「フリクションボールペン」がプレゼントされた。

    冒頭、受講生の前に多田とzoppが登場。多田が2人での講義は2回目であることを踏まえ「すっかり仲良くなりました」とコメントし、和やかなムードで講義が始まった。これまでのワークショップは講義を踏まえてグループワークを実施していたが、今回はいきなりグループワークからスタート。「楽曲を聴き、お題に沿ったオリジナルタイトルをつける」という課題が与えられ、「某新人Jr.アイドル(かわいい系グループ)」「冬リリースの冬ソング」「某フライドチキンメーカーのタイアップ」といったテーマと、歌詞を付ける楽曲として「We Wish You a Merry Christmas」が流された。多田とzoppがテーブルを巡回するなか、各グループは真剣に歌詞とタイトルを考案。それぞれがお題に沿った内容を提案し、あるグループは「メリークリスマスの『メリ』と、チキンの『チキ』で『メリチキ』にしました」と発表。zoppはこのタイトルに対し「文化を作ろうとするスタンスがすごくいい。文化って、作ったもん勝ちじゃないですか」と、楽曲が世に出て以降の広がり方も考慮したアイディアに対し、称賛を送った。なお、No.1に輝いた同グループには、景品として株式会社パイロットから「4色のフリクションボールペン」が贈呈された。


     その後に行なわれた講義の序盤では、2人が作詞のポイントについてトーク。まずはzoppが「作詞って基本的に答えのないものだと思っているので、クライアントさん一人ひとりに応じてバラバラなものを提供する、スーツのオーダーメイドみたいなもの。だから何を欲しがっているのかを察しないといけない」と、クライアントの考えを知る重要性を語り、続けて「大きなコンペだと100作集まるとして、ノンストップでチェックしたら7時間。では何をチェックするか? 歌詞の場合はタイトルが印象的じゃないものは後回しにされる。だからタイトルが大事。自分がチェックする場合でも、タイトルが良くなかったら見ない」と、タイトルの重要性を解説した。これに対し、多田は「wordで納品?」と納品形式を質問すると、zoppは「wordでタイトルを納品する。ファイル名は、自分の名前が「z」から始まるので、『zopp』を頭にしている。そうすると一番最後に読んでもらえますし、それだけでも評価のされ方が違ったりする」と、内容以外にコンペの合否を左右する要素についてコメント。多田もこれに賛同しつつ「マネージャーから『提出を火曜日じゃなくて月曜日に前倒ししてください』と言われ、なぜかと質問したら『火曜日は雨なので、どんよりした空気の時には提出したくない』と言われたんです」と、自身の体験談を語り、受講生を驚かせた。

    また、「今の作詞家に求められているのは速さや瞬発力」と語るzoppは、「タイトルから歌詞を書く」というテーマについて「タイトルを先に決めるのは、旅行の行き先を先に決めるようなもの。まずはキャッチ―なタイトルを決め、その言葉がサビに嵌まったらラッキー。ダメなら比喩表現や、違う言葉で同じ意味のものを探して補完する。タイトルのレベルを10だとしたら、残りの歌詞は10以下の言葉で作って、タイトルを目立たせる」と解説。多田は「僕は歌詞から書く。例えば超特急の『Yell』はドラマのタイアップ曲だったので、1話目の台本を読んで、<優しくそっと白い手を伸ばす>というワードが先に出てきた。僕の場合はそうやって作る方が多い」と、別の方法論を示した。

    続けて登場した「印象的なタイトルのコツ」というテーマでは、「造語・捩り語」「固有名詞」「外国語」「カタカナ・ローマ字」といったものや、「単語+単語」の用例、「フレーズ」を用いたタイトル付けについて議論が展開。zoppが「日本語+カタカナ外国語のパターンでは『青春アミーゴ』がまさにそうで、この曲がヒットしたのを機にパターンを考えるようになった」と語り、「作詞を始めたての人って、何を嵌めて良いのか思いつかない。それを早くするためには、言葉というものを支配してコントロールできなければならない。比喩表現ではまさにそこが大事になってくる」と受講生にアドバイスした。

    3つ目のテーマ「商品におけるタイトルとは?」については、zoppが「普段目にする色んな商品のタイトルを見て、『なんでこのタイトルがついているんだろう』と考えることがトレーニングになる」とコメント。まずは自動車の車種についての由来を掘り下げたあと、「映画の邦題は秀逸」とし、「Bonnie and Clide(俺たちに明日はない)」「The legend on 1900m(海の上のピアニスト)」「Sister Act(天使にラブ・ソングを……)」「Frozen(アナと雪の女王)」といった原題と邦題の違いを紹介。続けて映画繋がりで「宮崎駿監督映画に注目」と掲げ、多くのタイトルが「(場所・状態)+『の』+固有名詞」という法則で成り立っていることが、ヒットの法則に繋がっているのではないかと分析した。これらを踏まえ、zoppは「音楽業界という世界だけではなく、いろんな業界のものを研究することが大事」と述べ、多田も「CDシングルの定価が1500円だとすると、『あのCDに勝てるかどうか』ではなく、チケットに2000円の値段が付く映画と戦って勝てるのかという視点で見るようにしたほうがいい」と、エンターテインメントとしての強度を付けるために、視野を広くすることが大事であると語った。

     講義が終わると、2回目の課題として「次の楽曲を聴いてお題に沿ったオリジナルタイトルをつけてください 個人編」がスタート。「某新人Jr.アイドル(かわいい系グループ)」「冬リリースの冬ソング」「某鉄道会社のタイアップ」というテーマを踏まえ、多田が持ち込んだオリジナル曲に歌詞を付けるという課題が与えられた。「某鉄道会社のタイアップ」という制約を踏まえ、多くの受講生は“電車”や“鉄道”にちなんだタイトルと歌詞を提出。その中でもzoppと多田の目を引いた「冬恋トレイン」の作者である間智子氏が、見事No.1に輝いた。

    休憩後の質疑応答では「子供の頃から現在に至るまでに影響を受けた言葉は?」という質問に対し、zoppが「『実るほど、頭を垂れる稲穂かな』ですね。『青春アミーゴ』がヒットして回りからチヤホヤされたときに、母から『調子に乗ってる』と言われ、『いやいや乗ってない』と答えたら『それは周りに言われないとわからないから、この言葉を座右の銘にしなさい』と言われたんですよね。『偉くなるほど低姿勢になる』ということを心がけているんです」と回答。多田は「『容疑者 室井慎次』のセリフで『神様は勇気を一つだけしかくれない』というのがあって。『一回消しちゃったら戻ってこない』という捉え方で、勇気を絶やさないようにしなければと思って座右の銘にしているんです」と語った。

    続けて「洋楽を使って曲先作詞を使っているのですがうまくいきません」という悩みが寄せられると、zoppは「メロディにあわせて日記を書くんです。オジー・オズボーンでもU2でもなんでもいい。僕もそこから始めたので」アドバイス。「ラップの作詞が苦手です。良い方法はありますか?」という相談には、多田が「僕も苦手なのですが、まさに今そういうオーダーがきているんです。人間は苦手な方へ向かっていく、挑戦していく傾向にあるから、それを逆手に取って特徴にするしかない」と述べ、zoppは「聴いて小粋だと思った韻の踏み方を真似すればいい。結局はその道のプロの方がやっていることから勉強するしかないんです」と勉強法を伝授した。

    最後の質問として「コンペにてメロに歌詞をつけるとき、音数きっちりに譜割りしますか? それとも歌詞を優先させてメロを後から弄ることはありますか?」と投げかけられたzoppは「メロディを作る人の意見を尊重する必要があるので、足したり引いたりするのは失礼。限られた音に入れ込むのが作詞の美学であり醍醐味なので、そこに入れ込む作業に慣れないといけない」と語り、多田は「うまくいけば変えてもらっても良いと思いますが、一流の作詞家さんほど譜割りに忠実に合わせてきますね。たとえこっちの打ち込みがずれていても、そこにしっかり合わせてくれるんです」と、自身の体験談をもとに一線級の作詞家が持つスキルの高さについて明かした。

     イベントの最後には、zoppが「今日みたいに『今からすぐ作って』と言われてもみんな形にすることができる。ということは、いつも『できない』と追われているのは自分に甘いだけなんですよ。人間は与えられた環境でちゃんと育っていくものなので、自分に厳しく、他人に優しくすることが大事です」とアドバイス。多田は「この間zoppさんに作詞コンペで負けた悔しさもありつつ(笑)、(zoppのことを)戦友だと思っているので、一緒に作家としてより良いものを提供して音楽業界を盛り上げたい。次は絶対勝ちたい」と同志でありライバルのzoppに向けてエールを送り、ワークショップが終了した。

     即興のグループワークや2人による講義を通じて、作詞の世界における奥深さを体感することができた今回のワークショップ。次回の開催は未定だが、のこれまでの切り口とは違った展開で、受講生とともに、音楽の外側にあるものについて考えをめぐらせる意義深い取り組みとなった。次は一体どのような組み合わせによる講義が行なわれるのか。楽しみに待ちたい。

    zopp作詞クラブ
    http://www.zaza.tv/lyric_club/

    2016.07.12

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