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  • 「時代が移り変わろうと、コード感とメロディが音楽の個性を形づくる」STYと今井大介が語る、J-POPの“特異点”
    EXILEや少女時代、宮野真守などを手掛け、三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBEの「R.Y.U.S.E.I.」で時代を象徴するスター作家となったSTYと、AIやBENI、倖田來未などのブラックミュージック路線を切り開いたサウンドプロデューサー・今井大介(以下、今井)による対談。後編では、音楽作家として壁にぶつかった瞬間や今井がDigz, Inc.Groupへ加入したきっかけ、日本の音楽シーンの”特異点”についての他、使用機材についてなど幅広く語っている。

    取材・文:中村拓海
    写真:竹内洋平


    ――2人がキャリアを積み重ねてきたなかで、一番大きな喜びを感じた瞬間は?

    今井:
    同じくらい嬉しかったことが2回ありますね。BENIが安良城紅から改名して最初のアルバムが売れたときと、倖田來未がブレイクしたとき。倖田來未の場合は、楽曲で彼女の“エロカッコいい”一面を担わせてもらえたし、「Hot Stuff feat.KM-MARKIT」がシングルになったときは、自分でも驚きました。セクシー路線のシングルが出てくるきっかけになった一枚ですし。
    STY:
    「Hot Stuff feat.KM-MARKIT」は、本当にカッコよかった。映像も含めて海外で最先端になっている音楽を取り入れていて。日本のメジャーで同じようにトライしている人はいなかったですからね。「やっと日本にもこういうポップスタ―が音楽に向き合う時代がきた」と感動しました。

    ――そんなSTYさんが音楽作家としての喜びを感じる瞬間は?

    STY:
    僕、あらゆるSNSをすごく見るんですけど、ファンの方が聴いてくれた感想を送ってくれたりすると嬉しくなるんですよ。今日も手紙が届いていて….(鞄から7枚にわたる長文の手紙を取り出す)。取材前に読んだんですけど、嬉しすぎて泣いてしまいました。自分の書いた言葉やメロディを受け止めてくれて、「私はこう思った」とか「人生が変わった」とか言ってくれるんです。アーティストさんを通じて発信しているのに、こんな裏方を褒めてくれて本当にありがたいですね。
    今井:
    アーティストとしてやろうと思わないの?歌声を聴いて「もったいないな~」と思うんだけど。
    STY:
    自分がアーティストとしてデビューしたとして、どれほどの価値かは自分が一番よく分かっているので、慎重に進めたいと思っています。そこまで押し出すよりは、自分の音楽性を表現してくれる誰かに向けて書いたほうが、楽曲も人に伝わると思いますし。

    ――喜びとは真逆の質問になりますが、2人がこれまでで一番大きな壁にぶち当たった瞬間と、それを乗り越えた方法を教えてください。

    今井:
    僕は冒頭で話したように、自分のやっていることが流行っていないと思ったときですね。今は若い人の力を借りつつ、メロディーや歌詞を書いたり、コーラスのアレンジをするという適性のあることに集中しています。でも、若いときは壁に当たっても乗り越えようとせずにそのまま作り続けてほしいかな。そうすると経験値を積む中で、気づかないうちに「あ、これは壁じゃなかった」って気づけて、それが自信につながるだろうから。
    STY:
    僕は壁に当たりまくっているんですけど、とくに自分の好きなものが流行っていなかったり、いいと思っているものが理解されないという状況はつらかったですね。だから、僕はEDMでもドラムンべースでもJ-POPでも、いろんなジャンルの楽曲を通してひとつでも誰かの心に刺さればいいなと思っています。ただ、そこで「他の誰でもない、自分だからこそできる」という作品作りは意識しています。
    今井:
    わかる(笑)。あと、壁にあたったときのためにいい先輩を持っておくことは重要かもしれませんね。僕にはFace 2 fAKEといういい先輩がいて、お酒を飲みながら悩みを聞いてくれるときもあるし。僕の音楽的バックグラウンドが薄くて、コードなどで行き詰まったときも「オマエなあ、こうやって、こういくんだよ!」と自分にないものを教えてくれると「あっ、なるほど!」とリセットさせられた気分になるんです。でも、実際にはそれを使わなかったりするんですけど(笑)。

    ――ちなみに2人が使用している機材のなかで、お気に入りのものは?

    今井:
    マイクですね。今はAKGのC12VRをメインにしていて......。
    STY:
    あっ、それ!今度僕が買おうと思っていたやつです。
    今井:
    そうなんだ。自分のファーストアルバムはそれで録っていて。作家仕事のときも仮歌は自分で歌うから、やっぱり自分の声に合うのがいいんですよ。あと、人をあまり選ばないから、それもいいんですよね。
    STY:
    僕、機材には全く拘りがなくて(笑)。マイクはViolet DESIGNの「The Wedge」を楽器屋の店員さんにお勧めされて買いました。シンセは同じものをずっと使うというより、時代の移り変わりやそのときのモードに合わせて変えている感じですね。とくに今はイケてるアーティストやプロデューサーが使っている機材ってすぐに自分で調べられますし、YouTubeでチュートリアルまで見れますから。
    今井:
    シンセに関しては、ずっと同じは無理だものね。

    ――時代に合わせてのサウンドという話をしましたが、2016年現在のサウンドは、どのようなものだと捉えているのでしょうか。

    今井:
    全体的にもそうだし、特に欧米では90'sの音が戻ってきている印象ですね。若いアーティストもあえてそういう音作りをしているというか。でも、日本ってまだその流れが戻ってきていない印象ですね。
    STY:
    日本の場合は戻ってこないというより、90年代から動いてないという気がします。
    今井:
    ああ、そうかもしれない。2016年の日本のサウンドは、EDMを引っ張りすぎている印象があります。海外はテンポが遅くなってきているのに対し、まだ速いままというか。
    STY:
    EDM自体も、日本のEDMとアメリカのEDMに大きく違いがあるように思えます。日本のは90年代のユーロビートの延長線上の歌謡テクノポップというようなニュアンスが強く、欧米的な文脈とはまったく違う感じがするんですけど、それはそれで面白いと思います。(笑)

    ――ここまでの話では、世界的に見て日本の音楽シーンが特異だということになりましたが、この先はどういう風に変わっていくと思いますか?

    今井:
    日本の音楽は、どこまで発展してもコード感とメロディーありきのものになる気がするんです。絶対にご飯はマストで、おかずが変わっていくだけというか。洋楽はご飯すらもチェンジするようなことが多いんです。

    ――どうなっても日本らしさは残るということですね。

    今井:
    だからこそ、どういうテイストを取り入れるかが大事ですよね。
    STY:
    僕は海外のダンスミュージックが好きなので、常にその動向を追っているのですが、それらをアジア人が体現したものがK­POPなんだと思います。J­POPがそれを真似た形に進化すればいいかというとそういうわけではないので......難しいですね(笑)。
    今井:
    日本は海外の最先端に合わせると、ディレクターさんに「新しすぎるよ」と言われたりする場合もあるんですよね。でもそれって、マーケットの総意ではないし、リスナーを軽視しているだけであって。実際にSTY君の「J.S.B. DREAM」が受け入れられているわけだから。
    STY:
    今ってメディアと人との関わり方が変わっている時期だから、マーケティング的な側面から「こういう楽曲を売りたい」としたところで、昔ほど流行らない気がするんですよね。だんだん僕が好きだったJ­POP以前の日本歌謡界に近くなってきて、変なフィルターがかからなくなった分、クリエーターの作り方もどんどん質の高いものを作る方向に変わってくるんじゃないかとワクワクしています。
    今井:
    そうそう、変化しなくてもいいものや普遍的なものはすでにアイドルやシンガーソングライターさんから出そろっているわけだから、R&Bやヒップホップのような場所はせめてもっと実験的で遊びがあってもいいと思うんですよ。

    ――今回の対談自体は今井さんがDigz.incに加入したことを機に開催したわけですが、どういった経緯でDigz.incの門を叩いたのでしょうか。

    今井:
    年末に工藤社長とSNSでやり取りをしている時に工藤さんが札幌出身だということをお聞きして、私が今札幌在住なので盛り上がりました。その後何度か東京に来る際事務所におじゃまして、コライトなどやらせて頂くうちに同じ世界観を持っていることに共感しまして所属させて頂くことになりました。

    ――STYさんはキャラクターデザインやアパレルなど、音楽業界に軸足を置きつつ、さまざまなジャンルにも手を広げていますね。今後はどのようにキャリアを構築するのでしょうか。

    STY:
    将来のキャリアって、いままで1回も考えたことがなくて、今後も考えないと思います。ただ、音楽ってアートやライフスタイル、ファッションにキャラクター、全部がリンクしていると思うんですよ。だから、色々やっているように見えますけど、実はつながっていることが多くて。仕事で関わる人が増えてきたなかで、それを形にしてくれる人と出会えたから、わかりやすく表に出てきているという感じですね。

    ――最後に、若手クリエイターへ向けて、プロの音楽作家になるためにやるべきことを教えてください。

    今井:
    僕は......数を作ること。それが採用されようとボツになろうと、作ったもののなかからアイディアが見つかることもありますから。若いときはクオリティーよりもまず100曲作ることのほうが大事だし、自分のスタイルはそうして様々なジャンルに挑戦しないと確立できないんです。
    STY:
    僕も似ているといえば似ているのですが、若いときって誰かの真似をすることが重要だと思うんです。僕自身もR&Bやヒップホップを聴いて「このスネアって、なんでこんな音になっているんだろう?」と疑問に思って研究したことから始まりましたから。その真似が完璧にできるようになってくると、それが個性になり得ると思うんですよ。
    今井:
    音楽の聴き方でその人が作り手に向いてるかどうかがわかるよね。スネアやハットを気にする子はトラックメイカーとしての資質があると思います。
    STY:
    スネアにレイヤーするクラップをどれだけズラすと気持ちいいか、みたいなことがリスナー感覚でわかっていると強いですよね。あと、スポットが違ったりとか。グリッド通りに打ち込んでいる人がいたり、ちょっとずらしてグルーヴを出すタイプとか、はじめは真似でも、注意してどんな曲を聴いているかによって、すごく個性が出るんです。そういうことを意識してもらえたらいいですね。

    ▼STY(エス・ティ・ワイ)

    PRODUCER / SINGER / SONGWRITER / TOPLINER

    1980年生まれ。学生時代に 1990年代の R&B および HIPHOP に影響を受け、音楽制作を開始。2005年、東京渋谷にてソングライターおよび音楽プロデューサーとしての活動をスタートしてすぐに、 ARIA や COLOR などを手がけ一躍 J-R&B 界で新進気鋭のトラック・メイカーとしてシーンで話題に。その後手がけた EXILE や倖田來未などの作詞・作曲・プロデュースにより、J-POP 界でも音楽プロデューサーとして頭角を表した。アーティストの心情を代弁する私小説的な歌詞やリズミカルなメロディメイキングを得意とし、少女時代、三浦大知、Crystal Kay、宮野真守、三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBE、山下智久などのヒット曲を多数プロデュース。

    一方、ボーカリストとしては、HIPHOP ラッパーの SIMON や、安室奈美恵などを手がけるプロデューサー Nao’ymt などにフィーチャリングされ、その後 2011 年に DJ AKi, YUUKi MC と結成した “ASY” (エイシィ) のボーカリスト及びプロデューサーとしての活動を開始。ASY のリミックスコンテストではトラック・メイカー Maozon を見出し三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBE“R.Y.U.S.E.I.” で大抜擢するなど、後進の発掘や育成にも精力的に務める。2014 年、三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBE「R.Y.U.S.E.I.」で第56回日本レコード大賞を受賞(作詞・作曲・プロデュース)。2015年からはオリジナル・キャラクター「BLACKMAR / ブラッくまぁ」のデザイン及びグッズのプロデュースを開始し、クリエイティブ・ディレクターを務める。

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    ▼Daisuke”D.I”Imai(今井大介)

    PRODUCER / SINGER / SONGWRITER

    1975年3月13日生、東京都出身 札幌市在住。1995年よりロサンゼルスに滞在、1999年Musician Instiuteに在学中プロデューサーJoey Carboneに見出され2000年BMGより歌手デビュー。

    4枚のシングル、2枚のアルバムをリリース後、2002年より活動の軸をサウンド・プロデューサーに移行し、倖田來未、BENI、SMAP、遊助、AI、CHEMISTRY、東方神起、鈴木雅之、BoA、May J.など50組を超えるアーティスト達に280曲以上の楽曲を提供。これまでにレコード大賞金賞、9個のゴールドディスク、13個のプラチナディスクを獲得。

    2011年5月、9年振りのアルバム『room106』をD.I名義でavexよりリリース、BENIをフューチャーした『L.O.V.E』は数々の配信チャートで1位を獲得。2014年自身が発掘したカナダのコーラスグループ、ルーカス・ティーグをアカペラJ-POP カバーという形でトータルプロデュース、2015年春アルバム4Voicesをavexよりリリース。2015年夏より拠点を札幌に移す。2016年度より株式会社ディグズ・グループにマネジメントを移し、札幌~東京~世界へと音楽をコネクトしてゆく。

    AIR-G’FM北海道 今井大介のRide The Beat 毎週火曜日19:00~19:55放送中!!
    http://www.air-g.co.jp/di/

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    2016.07.08

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