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  • Ryu☆が考える“作り手としての矜持”「アーティストではなくデザイナーだと思っている」(後編)
    KONAMIの音楽ゲーム『beatmania』シリーズなどで活躍するトラックメイカー・Ryu☆へのインタビュー。前編では自身のキャリアや楽曲制作の核となっている部分、使用機材などについて語ってもらったが、後編となる今回は、2月24日にリリースする2種類の40曲入りベストアルバム『STARLiGHT』『MOONLiGHT』について、じっくり話を訊いた。
    取材・文:中村拓海
    写真:竹内洋平


    ――後編では、ベストアルバム『STARLiGHT』『MOONLiGHT』についてお伺いします。今回は2枚組80曲という驚異的なボリュームですが、どのようにこの40曲を切り分けているのでしょうか?

    Ryu☆:
    KONAMIさんから出した楽曲を『STARLiGHT』に。EXIT TUNESでやった仕事を『MOONLiGHT』に集約している、という感じです。

    ――それぞれの楽曲制作について、どのように切り分けや工夫をしようと思っていましたか?

    Ryu☆:
    まず大前提として、僕は自分のことをアーティストではなくデザイナーだと思っていて。自分が良いと思ったものを作るのではなく、ユーザーが喜んでくれるものを目指しているんです。だから、KONAMIさん以外の仕事だと、お客さんの層がガラっと変わって、そこにもまた、「この人たちが喜ぶ音楽を作ろう」という面白さを見出していました。

    ――なぜデザイナー的な考え方になったのでしょう。

    Ryu☆:
    大学が九州芸術工科大という、美大と工学部を足したような面白いところだったのが大きいのかもしれません。あとは、アニメやアイドルのお仕事をするときに、その原作のファンやグループのファンにちゃんと「いいね!」って言ってもらえるようにしたいという部分も大きいです。例えば、でんぱ組.incのリミックスだと、古川未鈴さんの声ネタを沢山入れたりとか(笑)。

    ――なるほど。ちなみに、キャリアの中でキーポイントになった楽曲を『STARLiGHT』『MOONLiGHT』からそれぞれ教えてもらえますか。

    Ryu☆:
    『STARLiGHT』からは、やはり「starmine」でしょうね。この曲を選考で選んでもらえなかったら、間違いなく音楽で食べていくことはできなかった。あとは「Mermaid girl」という曲で、これは『Dance Dance Revolution』内のヒット曲「Butterfly」(SMILE.dk)と同じバブルガムダンスに真っ向から挑戦して上手くいったものです。これは制作までに64テイクもかかったという、自分史上最多リテイク数の楽曲なんです。もう1曲挙げるなら、青龍名義の「waxing and wanding」。自分としては初めての“ボス曲”の仕事で、普段あまり使わない音運びを入れたり、オーケストラチックにしたりと、ポップよりもクラシックに近い構成にしています。

    ――続いて『MOONLiGHT』の収録曲でキーポイントになったものをお願いします。

    Ryu☆:
    改めて見直すと、幅広い楽曲を担当させていただいんだと思いますね。そのなかでもあの「Scatman」の元ネタをアレンジできたり、「Caramelldansen」がネット上で「ウッーウッーウマウマ(゚∀゚)」として流行ったときに、シングルカットCDでリミックスをさせてもらい、そのCDがゴールドディスクを獲るという出来事もありました。あと、でんぱ組.incさんのお仕事を通じて、アイドルカルチャーに触れたことも大きかったです。「でんでんぱっしょん」のリミックスを手掛けたあと、現場にご招待いただいて、初めてアイドルのライブをみて衝撃を受けたんです。玉屋2060%さんや畑亜貴さん、前山田健一さんらが作る楽曲も素晴らしくて、リファレンスにさせてもらった楽曲もあります。

    ――ほかにも、kradnessさんとのコラボなど、ニコ動カルチャーとの接近も面白い近年の動きですね。

    Ryu☆:
    個人的にも最初の方から見ていたサービスだったので、「俺はこれが好きなんだから聴けよ!」というくらいの熱量で投稿がガンガン上がっていたのを面白いと感じていました。当時は100万回再生している動画を分析していたこともあり、歌い手さんとのお仕事にもそれがかなり活きていると思います。やはり新しいサービスやプラットフォームは、自分で使ってみないとわかりませんから。ニコ動カルチャーからだと、「炉心融解」も面白かったですね。最初はボカロも声をプラグインで加工しているもの以外は苦手だったのですが、これはスッと落ちてくる感じがありましたね。

    ――『STARLiGHT』には、様々な筐体に提供した楽曲が収録されていますが、それぞれで楽曲や音の隙間の作り方を工夫したりするのでしょうか?

    Ryu☆:
    します。一番全面に出ているのは『jubeat』かもしれません。収録曲の「bass 2 bass」は、新しく稼働する際に提供した楽曲で、ユーザーも操作を最初から完全に習得できるわけじゃないだろうから、初心者向けの意識で作りました。

    ――繰り返しがかなり多くて、一度覚えれば押しやすい譜面ですよね。

    Ryu☆:
    僕の曲はもともと繰り返しが多いのですが、それよりも更に多くすることを目指しました。でも隠し曲になってしまうという(笑)。そんな感じで、新機種の最初に収録される曲などは、ゲーム性を考えながら作ることが多いですね。

    ――ゲーム性といえば、ベスト盤に収録している楽曲はフルサイズの4分尺ですが、提供する際は半分の時間に凝縮しなければならないですよね。とくにボス曲を任せられることの多いRyu☆さんは大変だと思うのですが。

    Ryu☆:
    2分尺の中に色々とギミックやアイデアを盛り込んでいくので、密度は必然的に高くなりますね。曲の終盤で難しくなることが多くて“ラス殺し”と呼ばれていたりと(笑)。自分が音楽ゲームのいちユーザーなので、やっていて「絶対に攻略してやる!」と楽しくなる楽曲にしようと頑張っています。

    ――ちなみにオリジナルアルバムは、今までに7枚で、青龍名義を入れると8枚ですね。この中でご自身の転機になった一枚とは?

    Ryu☆:
    『Plan8』ですね。もともとは何枚もアルバムを出そうと考えていなくて、初期の3部作『starmine』『AGEHA』『Rainbow☆Rainbow』と、速くてキャッチーなダンスミュージックを立て続けにリリースしました。でも、おかげさまでセールスも好調だったので4枚目を発売して、5枚目の『Plan8』で自分の思っていることができたという感じです。この作品を僕は “ひとりDancemania”と呼んでいるのですが、基本的に自分のアルバムは、「Dancemania」みたいに、いろいろなジャンルが入ったダンスコンピになることが理想で、そこに近づけた作品だと感じていて。あと、『青龍』に関しては、○龍名義の楽曲のみをピックアップして1枚に集約したものをリリースすることになりました。

    ――ボリュームが多いとはいえ、全部が入っているわけではないので選曲も難しかったのではと思うのですが、ベスト盤から泣く泣く落とした曲はなんでしょうか。

    Ryu☆:
    「Be quiet」や「in motion」などの、自分の中では「地味だけど良い」と思っている楽曲ですね。基本的にはジャンルをバラけさせつつ、キャッチーな楽曲や、プレイランキング上位の楽曲を入れているので、その辺りが聴きたくなったらぜひ今までリリースしたオリジナルアルバムの方を(笑)。

    ――今後もいろいろな方とコラボレーションしていくと思うのですが、ここまでで強く印象に残ったものを教えてください。

    Ryu☆:
    それぞれのコラボレーションにいろいろな思いが詰まっているのですが、ゲームっ子としては、『RIDGE RACER』シリーズの音楽を手掛けていた細江慎治さん(sampling masters MEGA名義などで活動)と「VOX UP」でコラボできたのは大きいです。MEGAさんの作る音楽はロッテルダムテクノ(ガバ)などの4つ打ちでキャッチーなものが多く、個人的にも強く影響を受けていたし、『RIDGE RACER』のソフトをCDプレーヤーに入れてよく聴いて過去もあり、そんな神様とのコラボが実現して「生きているといいことあるな」と思いました(笑)。コラボといえばもう一つあって、『マハラジャ』系列のディスコでDJをしていたDJ BOSSさんとDJ Remo-conさんによる「Y&Co.(横田商会)」さんのCDをずっと買っていたのですが、この度、念願叶って、DJ Remo-conさんの新作『DECADE 05-15 –The Greatest Works-』にコラボ曲を収録してもらいました。こちらも「生きているといいことあるな」と思いました(笑)。

    ――3月5日には、豊洲PITで『EXIT TUNES DANCE PARTY 2016-SOUND VOLTEX FLOOR ANTHEM & beatnation summit-』の開催も迫っています。こちらも現場で多数のアーティストとコラボレーションするわけですよね。

    Ryu☆:
    史上最大の3000人というキャパシティと、フェスと呼べるくらいの長時間なので、すごく楽しみです。イベントのプロデュースもそうですが、それとは別に『ravemania』というコンピレーションでbanvoxなどの新世代をフィーチャーしたりと、プロデューサーとしての仕事に少しずつシフトしていきたいですね。P*Lightみたいに僕の音に憧れてくれている人もいて嬉しいですし、そういった作り手を育てる側にも回りたいです。

    ▼リリース情報

    2016年2月24日発売
    「Ryu☆BEST -STARLiGHT-」「Ryu☆BEST -MOONLiGHT-」

    ▼イベント情報

    3月5日@東京・豊洲PIT
    EXIT TUNES DANCE PARTY 2016-SOUND VOLTEX FLOOR ANTHEM & beatnation summit-

    ▼プロフィール

    Ryu☆
    コナミの音楽ゲーム「beatmania IIDX」でのデビュー以来、 快進撃を続けるダンストラック・クリエイター。
    キャッチーなメロディを特徴とした、アップテンポのダンス系楽曲を得意としている。 現在BEMANIシリーズにおいて絶大な人気を得ているクリエイターであり、BEMANI各機種への楽曲提供の他、BEMANIレーベル「beatnation」の一員としても活躍している。
    またゲームシーンやクラブシーン以外にJ-POPシーンへも活動を広げており、 ゆるゆり「ゆりゆららららゆるゆり大事件」Remix、週刊少年マガジン「FAIRY TAIL」アニメ第9期OP、第11期ED、まんがタイムきらら「ゆゆ式」アニメEDなどに、 大ヒットスマホゲーム「ねこあつめ」公式CDへの楽曲提供のほか、 Starving Trancerとのプロデューサーズユニット「Another Infinity」名義で 多数の楽曲を提供、幅広い層、国内外から高評価を得ている。
    この他にもScatman JohnやCASCADA、GACKT、predia、でんぱ組.inc、DJ ドアラ、 歌い手kradness、kors k他、多くのクリエイター、アーティストからの信頼も厚く数多くの楽曲提供やRemixを手掛けている。 また自身のライブ、PV制作など次世代のエンターテインメントクリエイターとして 活動の幅を広げている。

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    2016.03.01

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