Music Factory Tokyo

Music Factory Tokyo

  • 音楽作家塾
  • Music Factory Tokyo presents「Music Creators Workshop」
  • メールマガジン
  • YouTube
  • instagram
  • musicるTV
  • レコーディング女子
  • 宮地楽器
  • search


special

  • 「技術が先行して作った音楽は、目がないだるまみたい」NAOKI MAEDAがクリエイターとしての信条を熱く語る(後編)
    株式会社カプコンが手掛ける音楽ゲーム『crossbeats REV.』のプロデューサー・NAOKI MAEDAへのインタビュー後編。前編では彼の音楽的原体験や『CROSS×BEATS』シリーズの立ち上げ理由、音楽ゲームに適した楽曲を語ってもらったが、後編では音楽ゲーム業界全体についての話や、彼の使用機材、クリエイターとしての信条などを訊いた。
     
    取材・文:中村拓海
    写真:竹内洋平


    ――NAOKIさんが最初に音楽ゲームの立ち上げに参加したときと、『CROSS×BEATS』を立ち上げた現在では、音楽ゲーマー全体のレベルがかなり上がっていると思います。

    NAOKI:
    いまはもう、『ラブandベリー』や『アイカツ!』、『プリパラ』で女の子が幼少期から音楽ゲームを楽しんでいる世代ですからね。

    ――『Project DIVA』や『ラブライブ!』などで育った人もゲームコーナーに足を踏み入れているわけで。

    NAOKI:
    そういう新しい潮流が生まれているのは感慨深いですね。『機動戦士ガンダム』で言うと、ファースト世代はもう成熟していて、SEED世代が出てきている感じ(笑)。音楽ゲームが、ひとつのジャンル・文化として、もう定番になったし、ちゃんと新陳代謝がされていっているんだろうなと思います。

    ――わかりやすいです(笑)。新陳代謝といえば、音楽ゲーム内でも流行ジャンルの変遷はありました。最近はサビにドロップを入れるEDMが音楽ゲームと相性が良いということもあり、どんどんEDM風の楽曲が増えている印象です。

    NAOKI:
    まあ、音楽ゲームにおいて非常にマッチングしやすいのは、やはりクラブ系やダンス系でしょうね。ゲームもデジタルミュージックも同じ0と1で作られたものですし。逆に、苦手とするものはバンドものなんですよ。どうしても人間のフィーリングがあるから、ソフト上で編集した時のシンクロ率があまり高くありません。

    ――この後、音楽ゲームの中で盛り上がりそうなジャンルは?

    NAOKI:
    まだEDMの流れは続きそうですけどね。今回『ミリオン連発音楽作家塾 第七期』で参加してくれたKyota.もsushiもそうだし。でも、歌ものを作っている2人はそこまで要素を感じなかったかもしれないです。

    ――Kyota.さんはちょっとEDMっぽくて、sushiさんはちょっとハッピーハードコアっぽい感じはありましたね。

    NAOKI:
    彼らはそれを素直に取り入れているなというふうに思っていて。

    ――BPM、今どんどん上がっているじゃないですか。

    NAOKI:
    上がっていますね。120が平均って言っていたのが、いつの間にか130になり、150、160とかになり。生き急いでるんかなーと思ったりします(笑)。でもこうなるのって絶対時代としての何かがあるんでしょうね。

    ――『CROSS×BEATS』のクリエイターさんやコンポーザーはどのように発掘しているのでしょうか。TORIENAやSeiho、happy machineといった若手トラックメイカーの起用や、Yamajetのような面白いチョイスが目立ちます。

    NAOKI:
    チャートに入っている音楽を上から下まで持ってくるのは他のゲームもやっていますし、そうするとブランディングにもならないので、マニアックなチョイスだと一目置いていただけるのはありがたいです。本当に音楽の力はこれだけすごいんだよと、音楽を愛している人たちの思いを汲めるゲームが、僕は『CROSS×BEATS』であってほしいと思っていて。その考えに賛同していただいている方々にいろいろ参加してもらっているつもりではあります。ただ、今後はゲーム自体へのリスペクトもちゃんと持っていないと、“音楽ゲーム”としては成立しないので、そこが課題かなと。

    ――音楽ゲーム自体も、各筐体内でスターコンポーザーが誕生したからこそ、文化として定着したわけですもんね。

    NAOKI:
    そうです。あれも時間をかけて皆さんに愛されたからこそなんですよ。そして、僕は一回目からその環境を作ろうと焦っていたんですけど、ふと“前職がこうだったからこうあるべき”みたいな考え方はやめないといけないと思ったんです。前と違う刺激を求めてこの会社に来たのに、同じようになることを追いかけてどうするんだと。もちろん弊社にも、つくり手さんたちはいるのですが、参画させる段階ではないと考えています。僕はやらなきゃいけないことではあるなと思っているので、楽しみにしていてください。

    ――カプコンとしての強みを生かしながら独自性を出すとすると、何を打ち出していくつもりなのでしょうか。言える範囲で教えてください。

    NAOKI:
    まず当たり前のことですけど、オリジナルの曲数は増やしていきます。あと、自社だけじゃなくて、競合他社においてもコラボレーションというものは実現していく方向で今考えてはいますよ。何でもそうですが、世の常としてのセオリーがあるとするじゃないですか。そのセオリーが中心となって世の中を動かしていると思うんですけど、デファクトスタンダードをつくりたいなと思っていて。コンヴァージョンのあり方も、2nd、3rd、4thとかじゃなくて、『crossbeats REV.』に関してはそのサイクルをすごく早めようかなとか。

    ――おお、それはパネルを変えたりするなど、いろいろな人が大変そうです……(笑)。

    NAOKI:
    あくまでアイディアですけど、もしやるなら当然パネルも収録曲も変えますよ(笑)。「うそ!?」みたいな驚きって必要やと思うんです。もちろんその瞬間、反感は買いますよ。でもそれを気にしていてもしょうがない。エンタメって何か、驚きとか、やっぱり感動とか、そこの刺激がデカければデカいほど、多分グッとくると思っていて、僕らくらいの小さいプロジェクトが小さいことをやっているとダメなんですよ。それこそ江頭2:50くらいの勢いでやらないと(笑)。

    ――コンポーザーでありプロデューサーとしてどんなバランスで仕事をしているのでしょうか。現在の制作環境を教えてください。

    NAOKI:
    一応作業ブースとオフィスワークをするブースが別々にあって、それを行き来するという感じです。立ち上げの時期は、制作よりも基盤づくりにすごく時間をかけました。当然社内の営業も必要ですし、色んな人にも会いに行ったんです。あと、チームとしても更地だったので、しかるべきポジションに値する人間がいなかった。ゲームというのはデザイナー、プランナー、プログラマーが必要だし、まずはそれらを集めるところから始めました。そういう意味での環境づくりには苦労しましたね……。

    ――機材に関してはどうでしょう?

    NAOKI:
    今はソフトウェアシンセがメインになっていて、DAWとして使っているLogic Pro XにROB PAPENのソフトウェアシンセを全種類入れています。PREDATORやBLUEといったROB PAPENのソフトウェアシンセは割とメインで使っていて。あと、ダンスミュージックに欠かせないMassiveと、ピアノとしてIvoryを使っています。

    ――ハードウェアは何を使っていますか。

    NAOKI:
    今、ライブもやりたいという思いがあって、ライブ用としても使えるシンセサイザー『JUPITER-80』(Roland)をメインにしています。あと、UltraNova(Novation)も。昔はハードウェアを大量にならべていたのですが、時代が変化するにつれ、どんどん身軽になりましたね(笑)。

    ――音楽ゲームのコンポーザーになりたいと言う人が目指すべきところや踏むべき手順についても聞かせてください。

    NAOKI:
    まずはやっぱり「自分が作りたいんだ」という思いが重要。その思いが強ければ強いほどいいし、まず真似てみるというのも大事じゃないかと。そんな中で自分らしさというものを音で表現しようという思いがすごく重要で、この3つのプロセスがファーストステップじゃないかなと思います。もちろん、「真似てみる」で止まっちゃいけません。同じEDMを作ったとしても、妙に心をくすぐる物になる人もいるし、そうでない人もいる。音楽や絵って、ある程度は技術でできてしまう部分があるので、身につけることは当然すごく重要だけど、それに任せた作り方をしてはいけない。ギター1本でもピアノ1台でも人を感動させらせるようなものはお金で買えないし、教本もないですよね。だから僕は、技術じゃなくて、自分の中にある感性を大事にすることが、いい音楽をつくれるエネルギーの源になるんじゃないかと思うんです。

    ――スレたりしてはダメだと。

    NAOKI:
    絶対ダメです。どんどん賢くなって、夢がなくなっちゃうというか。だからその夢を守り続けることは、すごく僕は才能だと思うし、技術は後天的にいくらでも身につけることができる。技術が先行して作った音楽は、目がないだるまみたいなものだと思いますから。

    ▼NAOKI MAEDAプロフィール


    ゲームプロデューサー兼ミュージックプロデューサー。
    音楽ゲームの革命・進化・革新を掲げ、多数の音楽ゲームを手掛ける一方で、音楽アーティストとしても多数の名曲を残す等、個性と才能を発揮しマルチに活躍中。
    現在、カプコン初の本格音楽ゲームアプリ『CROSS×BEATS』と、アーケード向け本格音楽ゲーム『crossbeats REV.』(クロスビーツ レヴ)のプロデューサーを務める。





    2016.02.03

  • search


page uppage up