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木之下慶行楽曲徹底分析 CORNELIUS(小山田圭吾)「Gum」今回紹介するのは、CORNELIUS(小山田圭吾)が2006年にリリースしたシングル『Music』に収録されている「Gum」です。僕自身は、某携帯電話会社CMで流れているのを聴いたのをきっかけに、このCDを手に取りました。じっくりと聴いてみると、一つひとつの音の輪郭がはっきりとわかり、楽曲はもとより、「音」そのものの印象が強く残る作品でした。そういう意味では、単なるポップミュージックというより、むしろ音の芸術と呼ぶべき作品ではないかと思います。
この楽曲では、単音でそれぞれ録音されたと思われる声の素材を、リズムに合わせて、センターからL、Rへと次々にパンニングがされているのが特徴的なポイントと言えます。エンジニアの高山徹氏によって一つひとつ徹底的に磨かれたサウンドと、低音の効いた力強いリズム隊がつくり上げる、“音作りの宝庫”を覗くことができる楽曲です。
J-POPの作曲家をやっていると、こういった楽曲の発注は少ないのではないかと思います。ただ、クリエーターとしては独創的な音作りに憧れを感じるでしょうし、リミックスなど手がけるアレンジャー(リミキサー)も大きな刺激を受けるはずです。
楽器構成はシンプルに見えますが、このサウンド自体がなかなか真似できるものではありません。アレンジャーを目指す方も、ぜひ一度この音作りにチャレンジしてみてください。僕自身がそうだったように、ミックスの奥深さはもちろん、プロの技術と経験、才能に圧倒されるでしょう。また、高山徹さんはASIAN KUNG-FU GENERATIONなどのミックスも手がけていて、その仕事もたいへん素晴らしいので、ぜひチェックしてください。
木之下慶行
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