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堀向直之 楽曲徹底分析 スガシカオ「黄金の月」今回紹介するのは、スガシカオさんが1997年にリリースした「黄金の月」です。この曲に出会ったのは、偶然聴いていたラジオ番組。デビューして間もないスガさんがアコギ1本で弾き語りをしているのを耳にして、一気に引き込まれてしまいました。どことなく影のある声のトーンと歌詞が、独特の世界観を作り出しています。後日CDを手に入れ聴いてみたところ、意外にもソウルやファンクの影響が色濃いアレンジに仕上がっていたことに驚きました。70〜80年代のブラック・ミュージックは、自分にとっても大きな影響を受けたサウンドのひとつです。
そして、イントロから聴こえるワウ・ギターや野太いベースで作り出すグルーヴにも耳を傾けたいところ。基本的に楽曲の印象はイントロの数秒間で決まってくるのですが、この作品はメジャーにもマイナーにもならない絶妙なコード進行で、グイグイと聴き手を引きこんでいきます。
広く一般的に受け入れられるポップスに、どちらかというとマニアックなジャンルであるファンクをミックスすることによって、耳馴染みが良くも奥深い表現を可能にしたアレンジは、編曲家にとっても非常に参考になりますので、ぜひ聴いてみてください。
堀向直之2015.05.20