Music Factory Tokyo

Music Factory Tokyo

  • 音楽作家塾
  • Music Factory Tokyo presents「Music Creators Workshop」
  • メールマガジン
  • YouTube
  • instagram
  • musicるTV
  • レコーディング女子
  • 宮地楽器
  • search


column

  • 伊橋成哉楽曲徹底分析 くるり 「ばらの花」
    くるりさんの「ばらの花」をはじめて聴いたのは、彼らのライブに行ったときのことで、「すごく良い曲だな」と思ったのを覚えています。けっして派手ではないのにキャッチーさがあり、明るすぎず、後ろ向きでもない。何というか、すべてが“ちょうどいい”感じだった。

    その独自の魅力ゆえに、ほかのアーティストからの人気も高く、奥田民生さんや矢野顕子さんといった、諸先輩方にもカバーされています。奇しくも、僕はボーカルの岸田繁くんと生年月日が一緒なのですが、同い年の彼が、先輩ミュージジャンたちも歌えるサウンドを作っているという事実が、純粋にすごいことだと思います。

    この曲に限らず、くるりさんの曲の特徴として挙げられるのは、コード使いの上手さです。教則本に載っていないような、セオリーを崩したコードワークばかりを使いながら、しかし曲全体のアレンジを聴いたときには、そう感じさせない。ただ、いざコードを真似してみると、「すごいことをやってるな」というのがよくわかる。きちんと音楽を知ったうえでのコード使いをしており、もしかしたら職業作家よりもコードを知っているのではないかと思えるほどです。

    くるりさんの楽曲において、Bメロの頭はA/Gなどのコードで始まることが多くて、これがふわっとアンニュイな印象を与えます。Bメロの曲調をせつなくするのか、明るくするのか、どちらか一方に決めず、両方の色の絵の具をぐちゃっと混ぜたようなトーンでBメロを始めるのが得意なのでしょう。

    一般的な職業作家は、メジャーコードかマイナーコードか、どちらか一方に決めたがる傾向が少なからずあるため、そういった微妙なニュアンスを表現するのは難しい。そこが岸田くんとの大きな違いです。けれど、その曖昧さで曲が成立するのは、ボーカルの岸田くんが自分の声質をよく知っているから。自分の声が聞いている人にいちばん伝わる音、それがくるりにとってはA/Gのコードなんだと思います。

    伊橋成哉

    2015.03.25

  • search


page uppage up